【第705回】 2025年の流行語から中国の“今”を洞察
中国社会の変化を読み解く注目ワード10選(後編)
中国共通
共通
消費トレンド
SUMMARY
アニメやゲームなど二次元文化の周辺グッズ「谷子」市場が拡大 前号に続き、『咬文嚼字』誌が発表した「2025年中国10大流行語」から、後編となる5つのキーワードを見ていきましょう。これらの言葉には、現代中国人の価値観や息遣いが色濃く反映されています。 まずは「谷子」(グーズ)です。英語の「goods」に由来し、アニメやゲームなど二次元文化の周辺グッズを指します。 かつては限られたファン層の用語でしたが、今や一般消費へと拡大し、「谷子経済」と呼ばれる市場を形成しています。 上海や深圳などの大都市では、専門店や展示スペースも登場するなど、趣味と消費が都市文化の一部になっている様子がうかがえます。 次に「預製◯◯」。元々、調理済み食品の「預製菜」を巡る議論から生まれた言葉ですが、現在では画一的で個性に欠けるもの全般を…

前号に続き、『咬文嚼字』誌が発表した「2025年中国10大流行語」から、後編となる5つのキーワードを見ていきましょう。これらの言葉には、現代中国人の価値観や息遣いが色濃く反映されています。
まずは「谷子」(グーズ)です。英語の「goods」に由来し、アニメやゲームなど二次元文化の周辺グッズを指します。
かつては限られたファン層の用語でしたが、今や一般消費へと拡大し、「谷子経済」と呼ばれる市場を形成しています。
上海や深圳などの大都市では、専門店や展示スペースも登場するなど、趣味と消費が都市文化の一部になっている様子がうかがえます。
次に「預製◯◯」。元々、調理済み食品の「預製菜」を巡る議論から生まれた言葉ですが、現在では画一的で個性に欠けるもの全般を揶揄する比喩として使われています。
「預製人」、「預製内容(コンテンツ)」といった表現には、効率や量産を優先する社会への違和感も込められています。
対照的に支持を集めているのが「活人感」(生きている人間らしさ)です。AI(人工知能)による生成コンテンツやSNSの演出に疲れた人々が、不完全さや感情の揺らぎといった“生身”を求めていることを示しています。
これは、デジタル化が進む時代における人間への回帰とも言えるでしょう。
「◯◯基礎、◯◯不基礎」というフレーズも印象的です。節約と浪費、理想と現実のズレをユーモラスに表現し、多くの共感を呼びました。自嘲を交えながら日常の矛盾を笑いに変える、中国ネット文化らしい言葉です。
最後の「従従容容、遊刃有余」と「匆匆忙忙、連滾帯爬」は、理想と現実の落差を極端な対比で描き出しています。魔性の替え歌として拡散され、自分たちの慌ただしい日常を笑い飛ばす共通言語となりました。
2025年の流行語からは、中国社会がこれまで以上に、個人の感情や生活実感に強く寄り添う方向へとシフトしている様子が伺えます。「谷子」や「活人感」に代表されるように、自分の好きなものを大切にしたい、無理せず等身大で生きたいという思いや価値観が、静かに、しかし確実に広がっています。
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