【第710回】 マクロでは見えない中国消費
現場から読む2026年の潮流12選
上海
小売・流通
消費トレンド
SUMMARY
豫園の灯会(ランタンイベント)は観光客でごった返していたが⋯ 会報誌2026年1&2月合併号の巻頭特集では、2026年の中国消費を左右する12の潮流を整理しました。コロナ禍が明けて3年が経ちましたが、現場で見える消費の姿は、以前にも増して掴みにくくなったと感じています。 上海で商業施設を視察していると、「本当に消費は落ちているのか?」と戸惑う場面が少なくありません。 平日の昼間とはいえ、かつては人であふれていたモールが静かだったり、人気店でも行列がない…。しかし帰り道には、美団の配達員と何人もすれ違う。消費が消えたのではなく、目に見えなくなっただけなのではないか――そんな感覚を持つようになりました。 実際、フードデリバリーやネットスーパーは完全に日常に溶け込み、近所のコンビニやスーパーの商品もアプリから注文する…

会報誌2026年1&2月合併号の巻頭特集では、2026年の中国消費を左右する12の潮流を整理しました。コロナ禍が明けて3年が経ちましたが、現場で見える消費の姿は、以前にも増して掴みにくくなったと感じています。
上海で商業施設を視察していると、「本当に消費は落ちているのか?」と戸惑う場面が少なくありません。
平日の昼間とはいえ、かつては人であふれていたモールが静かだったり、人気店でも行列がない…。しかし帰り道には、美団の配達員と何人もすれ違う。消費が消えたのではなく、目に見えなくなっただけなのではないか――そんな感覚を持つようになりました。
実際、フードデリバリーやネットスーパーは完全に日常に溶け込み、近所のコンビニやスーパーの商品もアプリから注文すると30分ほどで届きます。外に出て買い物をする必要がない生活が成立しているのです。
ネット通販も、かつてのダブルイレブンや618のような“お祭り”の熱量は薄れ、イベントとして消費を観測することが難しくなりました。
一方で、新しく開業したモールを訪れると、一定の賑わいがあります。郊外にも大型施設が増え、客流が分散しているのだろうと思います。かつてのように中心部へ人が集中するのではなく、生活圏の中で完結する消費へと変わっているのでしょう。
こうした環境の中で、消費者の判断基準も変化しています。「自分が好きか」「満足できるか」「癒やされるか」。他人の評価や流行よりも、自分の感覚が優先されているように見えます。
日本から中国を見ると、GDPや小売統計などのマクロデータで全体像を判断しがちです。しかし現場にいると、その数字だけでは説明できない現象がいくらでもあります。14億人が暮らしているわけなので、消費が一様に増減することはないでしょう。
だからこそ重要なのは、大きな市場を一括で捉えることではなく、無数に存在するニッチを丁寧に見つけ、その中で確実に存在感を示すことではないかと感じています。今号で紹介した12の潮流が、そのための手がかりになれば幸いです。
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