【第719回】 ビールは“酔うため”から“楽しむため”へ
フレーバー化がもたらす中国ビール市場の変化徴
中国共通
食品
消費トレンド
SUMMARY
お茶の風味を取り入れたビールが増えている 大きな転換点を迎えている中国のビール市場。市場規模自体は2019年の約6,000億元から2024年には7,300億元超へと着実に拡大していますが、生産量はすでにピークアウトしており、量を追う成長から質を重視する段階へと移行しています。 その中で目立つのが、プレミアム化の流れです。中でも8〜12元帯のいわゆる“少し良い”ビールが急速に存在感を高めており、市場の中心的な価格帯となりつつあります。 各社が商品開発やブランドづくりに力を入れるなか、単に安い・高いではなく、「どのような価値を感じられるか」が選ばれるポイントになってきました。 もう一つの特徴が、若いZ世代の消費スタイルの変化です。健康志向の高まりを背景に、低アルコールやノンアルコール、低糖・低カロリーといった商品が一気に広…

大きな転換点を迎えている中国のビール市場。市場規模自体は2019年の約6,000億元から2024年には7,300億元超へと着実に拡大していますが、生産量はすでにピークアウトしており、量を追う成長から質を重視する段階へと移行しています。
その中で目立つのが、プレミアム化の流れです。中でも8〜12元帯のいわゆる“少し良い”ビールが急速に存在感を高めており、市場の中心的な価格帯となりつつあります。
各社が商品開発やブランドづくりに力を入れるなか、単に安い・高いではなく、「どのような価値を感じられるか」が選ばれるポイントになってきました。
もう一つの特徴が、若いZ世代の消費スタイルの変化です。健康志向の高まりを背景に、低アルコールやノンアルコール、低糖・低カロリーといった商品が一気に広がりました。
同時に、ビールに求められる役割も変わりつつあります。酔うための飲み物というよりも、友人との時間やリラックスといった気分を楽しむための存在へとシフトしています。
味わいの面でも変化は顕著です。フルーツやお茶の風味を取り入れた商品が増え、ビールはより軽やかで飲みやすい方向へと広がっています。その結果、炭酸飲料や新式茶飲料とも競合する“軽い飲み物”と見なされ、「お酒」という枠組み自体が少しずつ曖昧になってきました。
さらに、フードデリバリーを活用した「即時零售」(インスタント・リテール)など新しい販売チャネルの拡大により、消費シーンの変化とともに購買行動そのものも変わりつつあります。
こうした変化を踏まえると、今後の中国ビール市場は、味や価格だけでなく、どのようなシーンでどのような体験を提供できるかが、より重要になっていきそうです。

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