【第731回】 価値ある体験をいかに提供するか?
日本企業が強みを生かせるサービス市場が拡大
中国共通
娯楽・レジャー
マーケティング
SUMMARY
日本企業が強みを持つ観光、宿泊、外食、教育などの分野にとっても、大きなビジネスチャンスとなるか?(写真:江西省・望仙谷) 会報誌6月号で特集した中国サービス消費市場。消費の主役が「モノ」から「サービス」へと移りつつあるなか、旅行や外食、ライブ・イベント、スポーツ、教育など、体験や時間そのものに価値を見いだす「サービス消費」が新たな成長分野となっています。 没入型演劇や音楽フェス、オンラインのパーソナルトレーニングといった新しい消費スタイルも広がり、人々のお金の使い方は大きく変わり始めました。これは一時的な流行ではなく、14億人を超える巨大市場で進む消費構造の転換といえるでしょう。 その変化は各種データにも表れています。2025年のサービス小売売上高は前年比5.5%増と、モノの小売売上高(3.8%増)を1.7ポ…

会報誌6月号で特集した中国サービス消費市場。消費の主役が「モノ」から「サービス」へと移りつつあるなか、旅行や外食、ライブ・イベント、スポーツ、教育など、体験や時間そのものに価値を見いだす「サービス消費」が新たな成長分野となっています。
没入型演劇や音楽フェス、オンラインのパーソナルトレーニングといった新しい消費スタイルも広がり、人々のお金の使い方は大きく変わり始めました。これは一時的な流行ではなく、14億人を超える巨大市場で進む消費構造の転換といえるでしょう。
その変化は各種データにも表れています。2025年のサービス小売売上高は前年比5.5%増と、モノの小売売上高(3.8%増)を1.7ポイント上回りました。
一人当たりのサービス消費支出は1万4,000元に達し、個人消費全体に占める割合は46.1%と、2020年から3.5ポイント上昇しています。
またGDPに占めるサービス産業の付加価値比率も57.7%まで拡大しており、中国経済におけるサービス産業の存在感は一段と高まっています。
背景にあるのは、経済成長に伴う消費の成熟です。一般に、一人当たりGDPが1万5,000米ドル前後に達すると、消費の中心はモノからサービスへ移行するとされています。
中国も2025年には一人当たりGDPが1万4,000米ドルに迫り、まさにその転換点を迎えています。生活必需品が広く普及した現在、消費者が重視するのは「何を持つか」ではなく、「どのような体験や価値を得られるか」です。
価格や機能だけでなく、利便性や快適性、自己実現、精神的な満足といった付加価値への関心が高まっています。
中国のサービス市場は、日本企業が強みを持つ観光、宿泊、外食、教育などの分野にとっても、大きなビジネスチャンスとなる可能性があります。
今後は「モノを売る」だけでなく、「価値ある体験を提供する」という視点が、中国市場を攻略する重要な鍵になりそうです。
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