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【第720回】 即時配送で曖昧になるリアルとネットの垣根

インスタント・リテール普及で迫られる顧客接点の再設計

中国共通 ネット EC

SUMMARY

アリババも傘下の即時配送「淘宝閃購」 オンラインだけでなく、オフラインでも存在感を高めている「即時零售」(インスタント・リテール)。スマートフォン(スマホ)で注文すれば30分程度で商品が届く、フードデリバリー網を活用した新たなEC(電子商取引)モデルです。 取扱商品もフードにとどまらず、食品、医薬品、スマホ、家電などへと広がり、「万物配送」へと進化しています。 2025年には、京東がフードデリバリーに本格参入し注目を集めました。狙いは高頻度ユーザーの囲い込みを通じ、自社EC購買へとつなげることにあります。 一方、アリババも傘下の「餓了麼」を「淘宝閃購」に統合し、淘宝アプリ上で即時配送を積極アピール。巨大なユーザー基盤を背景にサービス浸透を加速させました。 これにより、ユーザーは商品閲覧と同時に近隣店舗の商…

アリババも傘下の即時配送「淘宝閃購」
 オンラインだけでなく、オフラインでも存在感を高めている「即時零售」(インスタント・リテール)。スマートフォン(スマホ)で注文すれば30分程度で商品が届く、フードデリバリー網を活用した新たなEC(電子商取引)モデルです。

 取扱商品もフードにとどまらず、食品、医薬品、スマホ、家電などへと広がり、「万物配送」へと進化しています。

 2025年には、京東がフードデリバリーに本格参入し注目を集めました。狙いは高頻度ユーザーの囲い込みを通じ、自社EC購買へとつなげることにあります。

 一方、アリババも傘下の「餓了麼」を「淘宝閃購」に統合し、淘宝アプリ上で即時配送を積極アピール。巨大なユーザー基盤を背景にサービス浸透を加速させました。

 これにより、ユーザーは商品閲覧と同時に近隣店舗の商品をワンクリックで購入し、短時間で受け取ることが可能となっています。街中の小売店は「前置倉庫」(ダークショップ)として再定義され、オンラインとオフラインの境界はさらに曖昧になりました。

 こうした変化は大型セールでも顕著です。2025年の618セールでは1億人以上が利用。高額商品の売上も10倍以上に拡大しました。ダブルイレブンでも注文件数は平常時の約9倍、客単価も約30%上昇するなど、量・質ともに大きな伸びを示しています。

 さらにはゴールドや翡翠、ブランド品といったラグジュアリー商品までが即時配送の対象になるなか、従来のECでは当たり前だった”待つ”消費は、急速に過去のものとなりつつあります。

 日本企業にとっても、この動きは単なる配送スピードの話にとどまりません。顧客との接点が「検索して買う」から「必要な瞬間に届く」へと移行する中で、どのタイミングで、どの接点から入り込めるかが競争力を左右します。

 リアル店舗、EC、デリバリーを分けて捉えるのではなく、生活動線の中にどう組み込むか。顧客接点の再設計が求められています。

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